甘い魔ものデートクラブ
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甘い魔ものデートクラブ

クロオ千尋

家族のお話

ネタバレ
2024年4月27日
このレビューはネタバレを含みます▼ 2巻完結。ページ数多めで、特に2巻は300ページ超。一風変わったデートクラブ(いわゆるレンタル彼氏の方がイメージに近いかも)を舞台に様々な人間関係が描かれています。1巻でメインの恋愛要素を担ったヒロとタイガは2巻では冒頭とおまけのみに登場。いまいち主人公らしくなかったあっくんとルカをメインに、店長とセン、新キャラ陣さんと咲夜さんの複雑な恋愛が絡みながらも、このお話の主題は『家族』というものなのかも。皆家族に複雑な思いを抱えているからこそ、デートクラブの仲間たちが家族のようになっていくことの喜びや苦しみがよく分かります。誰かに心を見せることは辛さも伴います。だからこそ明言はされずに断片的に語られるあっくんの劣等感や焦燥感を、そのまま受け入れるルカの愛の告白シーンがとてもきれい。そんなルカもあっくんを幸福の象徴である母親に重ね、あっくんに救われている。店長の養子と発覚したセンも、恋愛だけではなく親兄弟への親愛を含めて店長を愛していて、店長もセンをとても大切に思っている。分かりやすい感情だけでなく、複雑で言葉にし難い感情もあるのも家族への情に近いように思います。かなり大きな事件も起こるのですが、良い意味でふんわりして劇的ではないので、皆すぐにご飯を食べて日常に戻って可愛らしいやりとりをするのが独特のテンポを生んでいます。ちなみに、そういったシーンは少なめですが、ルカとあっくんの間は一応決着がつきます。二人はほのぼのした感じでこれからも皆と賑やかにやっていくんだろうな、と微笑ましくなりました。
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