公爵夫人の50のお茶レシピ
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公爵夫人の50のお茶レシピ

Antstudio/Lee Jiha

主人公に魅力無し

2024年4月28日
ただ虐められていただけじゃなくて、転生前のクロエは知ったかぶりで大勢を呼び出しその知ったかぶりがバレるのを恐れて約束の場所に現れなかったり、自分の失敗がバレるのが怖くて使用人に罪を擦り付けたり、小心者に見せ掛けてなかなか大胆でクズでした。転生後その記憶があるのに、罪を擦り付け酷い罰を受けた使用人が嫌がらせして来たのに対して「あなたの気持ちわかるわ」と、まず自分がその使用人にした事を謝りもせずに、うれいを帯びた表情で言ってのける図々しさを見て一気に冷めました。転生後紅茶の知識でクロエを取り巻く環境は徐々に好転し、女神さながらの讃えられようなのですが、自己肯定感が低い設定であり、自身の口からは謙遜の言葉を述べてはいるもののどこか傲慢さが滲み出ており読み手としては釈然としません。主人公がどんな事をしてでも復讐してやるという雰囲気のキャラならいいのですが、心の広い優しい聖女のような女性として描かれているので余計モヤモヤします。そして転生物という非現実的なものに現実味を求めるのはナンセンスと分かってはいても「紅茶の知識だけでこんなに何でもかんでもポンポン解決出来るか」と思ってしまうのです。紅茶なんて嗜好品なのですから好き嫌いだって必ず出てくるわけですからね……。ダラダラペラペラと紅茶ウンチクを長々語る様は、自分の興味ある話は皆興味あると思い込んで、聞いて欲しい気持ちとの相乗効果で空気も読まずしゃべり続ける鬱陶しい人たまに居るよなぁとふと感じてしまう始末。何でも主人公の思う通りに進み、次々問題を解決していくので気楽に読める作品ではあります。ですが、物語の奥行きや深み、それなりの現実味と整合性を物語に求める方にとってはイマイチ腑に落ちない作品になるのではないかと思いました。やはり主人公が自分に合わない物語はダメですね
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