藤枝蕗は逃げている
」のレビュー

藤枝蕗は逃げている

木村木下/伊東七つ生

多くの人に知って欲しい傑作

ネタバレ
2024年5月5日
このレビューはネタバレを含みます▼ ムーンライトノベルで連載されていた頃に出会い、この作品の世界にすぐに引き込まれました。毎回読むたびに次の更新が日々の楽しみになるほどに大好きな作品で、完結した時はしばらく喪失感がありました笑
そして、偶然書籍化されたことを知り、購入しました。すでにムーンライトノベルで既読済みの方も、あとがきとSSのために購入する価値はある作品だと思います。

蕗の一途な愛とローランの一途で時に狂気的な愛に何度も身悶えました。特にこの物語の要となる蕗のいなくなった後の世界でローランは蕗を取り戻すために変わっていくのですが、その姿を蕗は夢という形で目にします。私たち読者も蕗視点でしかこの作品の世界を読めないため、時々現れる元の世界のローランの姿を蕗と同じ気持ちで知ることができ、ローランはどこまでいってしまうのか、蕗は元の世界に戻れるのか、毎回ハラハラしてました。SSでは蕗がいなかった世界でのローランの様子を知ることができるので既読済みの方もぜひ買って読んでください。
内容以外で特におすすめなのは、作者の木村木下先生の表現力の高さです。キャラクターの感情をあえて文字にせず、彼らの行動から読み取れるようにうまく表現しており、毎回その表現力の高さにも感動しながら読んでいました。また、幼い頃の蕗やローランと離れ離れになる蕗の描写には何度も涙を流しました。
あとがきでは、先生がこの作品に込めた考えを知ることができ、あとがきもおすすめです!
内容は確かに重めで、2人が再会するまでの道のりは長いですが、ストーリー構成は神がかっているので本当におすすめです!多くの人に知って欲しい傑作だと思います。
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