大奥
」のレビュー

大奥

よしながふみ

神懸かってる

ネタバレ
2024年5月8日
このレビューはネタバレを含みます▼ ファンタジーな世界観なのに、しっかりとした設定と壮大な人間ドラマで感動!
江戸っ子・水野の流水紋の裃の後ろ姿や 目元に紅を塗った愁いを帯びた真正面顔がとんでもなく美しい。潔くてかっこいい男なんだけどお信への想いが溢れてしまう所が切ない(泣)
水野の物語から始まり、また次の主人公に移り、辛い場面に出くわしてもどんどんお話は進むので 沼るのはあっという間。

自分の意思に反した状況に置かれても、運命を受け入れその中で懸命に生きる人々の姿が描かれていて、その生を終え、また新しい代に移り変わる様子が綴られます。
人生って何だろう、人間て哀れで愛おしい。
登場人物全て愛おしくなり、人間は一生懸命生きるしかないんだなという気持ちになりました。

絵がとても粋で色っぽい。横顔が美しくて見惚れる。
表情や、一人の生涯の顔の変化の描写が見事。
自然に年老いていく顔、生き方が表れた顔など、すっきりとしたタッチながら表現が秀逸。有功は生涯通して美しかった(涙)

文字も登場人物も多く読むの大変ですが、前のところを読み返すと「あの人ここに出てた!」という発見があったりしてちゃんと繋がってるのが凄い。
作者様は間違いなく天才。これだけの長いお話をしっかり深く魅力的に描かれていることに驚きを隠せない。
まだ最後まで読めてないので、これからも様々な人物や物語に思いを馳せることができる喜びでいっぱいです。この作品に出会えたことに感謝します!
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