その愛に終わりはあるか
」のレビュー

その愛に終わりはあるか

谷崎泉/yoco

そそられる関係

ネタバレ
2024年5月9日
このレビューはネタバレを含みます▼ 「ダークホースの罠」のスピンオフ。ダークホースに続き刑事たちの過労死が非常に心配になる作品。皆様ほんとお疲れ様すぎる。
攻めの鷲沢と受けの南野の「執着と馴れ合い」の果てにあるような関係がおいしい。高校時代に出会い、鷲沢は南野に一目惚れ。しかし南野は鷲沢の恋愛感情に気づいておらず、大人になって再会してから関係は始まり、その関係は20年近く続いている。高校時代や再会したころのエピソードはあまり多くは書かれていない。今はすっかり南野を溺愛し、尽くしているかのように見える鷲沢も、再会したころはむりやり南野に迫ったようで、むりやり攻めとほだされ受けで始まった関係なのかなと、本作自体に無理やりな描写はないけれど、攻めと受けの過去にぷんぷん漂うむりやり臭。攻めの、鍵をピッキングしドアガードを電動のこぎりで壊して部屋に入ってくるというような異常性と、受けの意向を完全無視して自分の意思を押し付ける感じは、作者様の別作品の久遠寺を彷彿とさせる(笑)ただ、むりやり臭がただよってはいるものの、あからさまなむりやり描写がないのが救い。
普段は事なかれ主義な南野が、鷲沢に対してだけは厳しい態度で素をさらけだすことや、南野にどんなに冷たくされてもへこたれない鷲沢の感じとかは大変そそられた。これって愛なの何なの?たぶん愛だろなーみたいな微妙な関係が私は好きなので、南野が鷲沢との関係を受け入れきれてない、歯切れの悪い感じも好み。ただやっぱり南野が多忙すぎて、南野と鷲沢のからみが足りなかったように感じて残念。事件捜査のことより、二人の過去から現在に至るまでのエピソードを根掘り葉掘り書いてほしかったし、二人のその後ももっと見てみたい。「ダークホース」の胡桃がかなり出張ってきてたのはなかなか楽しかった。
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