身代わり婚の後宮妃は皇帝陛下に逃がしてもらえない
」のレビュー

身代わり婚の後宮妃は皇帝陛下に逃がしてもらえない

冴原ゆいと/織部ソマリ

障害が無さすぎる恋で物足りなかった

ネタバレ
2024年5月11日
このレビューはネタバレを含みます▼ 18話完結で読みやすかったです。
嫌な展開が一切なく、宮中で陛下とは知らず理想的に恋仲になっていく、王道のシンデレラストーリーって感じでした。

途中とてもキュンキュンしたし、気分の良いハッピーエンドで良かったなぁと思いますが
あまりにもことが上手く運びすぎで物足りなさを感じました。
とにかく幸せな話だけが見たいんだ!!って読者には全力でオススメしますが
人間という生き物の黒い部分は極力描かずに、綺麗な部分だけを見せられたような、そんな印象の物語でした。

皇太后があっさり捕まったのもモヤモヤします。
読者からしたら彼女、別に大したことしてないように見えますし…汚い悪事を描いてないせいで…。
むしろ息子を溺愛してたのになんだか可哀想。
悪役を描きたかったのなら、なんでわざわざ溺愛してる描写を描いたのやら。そんなの見たら普通に良い母に見えてしまいます。
そして離宮に流したくらいじゃ、全然まだ悪巧みして復活しそうですしね…。

それに李姫様をただのいい子として描いたのも変な感じ。
仮にも名家のお姫様なのに、自分の宮で丁寧に扱われてなかったとか信じられないし
親に圧力かけられてたら、主人公のことを恨んだり妬ましく思ったり、いい子だとしてもいい子なりの黒い感情をぶつけてくるのが普通だと思うんですよね。
最後も言われるがまま、ありがと〜って感じに主人公の侍女みたいな立場になることを受け入れてたし、それこそ本当にお人形さんだったのでは…と思ってしまいました。
てゆーか皇后になる人に望まれたら、彼女の一存で侍女になることを家は許してくれるんだろうか?
何もかもあっさり上手く行きすぎで信じられませんでした。

こういう王宮モノにしては圧倒的に波乱が足りないんですよね。だからこその18話完結なんですけど。
ずっと隠していた金兎の件も、この国にとってどれくらい重要視されている存在なのか今ひとつピンときませんでした。
最後にみんなの前で明かしたけど、金兎と知っても大臣たちに反対されてたし、あれっ?国が何としてでも得たいような存在じゃなかったんかーい?って肩透かし食らった気分になりました。
じゃあ必死に隠してた意味もあまり理解できません…。
金兎を得て得する人って一体誰だったんだ。

駆け落ちしたお姫様の方が面白かったです。あんなに賢いのに商人の息子と急に…。彼らの話も見てみたかったです。
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