俺様弁護士と小動物系契約妻のいかんともしがたい事情について
クレイン/針野シロ
このレビューはネタバレを含みます▼
自己肯定感が著しく低いヒロインの形成は毒親の暴力とネグレクト、金銭的搾取によるもの。暴力に加え、勝手にクレジットカードを作成し、限度一杯使ったあげく、奨学金、バイト代までを使いきった父親は、更に身体を売って金を稼げと社会的自立もままならない学生である娘に言い放つ。先の見えない絶望感でたまらなくなり、マンションの最上から下を見ていた時弁護士ヒーローと巡り合う所からストーリーが展開されていく。入籍し、父親からヒロインを引き離し偽装結婚をするも、父親の借金返済の肩代わりをしたヒーローに、健気に返済をしつつ、バイトや勉学、家事を見事にこなすヒロインの真面目さや頑張る姿がいじらくて泣けた。ヒーローも庇護欲全開でヒロインが可愛くて仕方ないんだ感が最高に良かった。ヒーローサイドを読んで更にヒーローに対する関心を抱いた。
流石はクレイン先生、現代物は珍しく感じたが、主人公の心情や背景だけでなく、それを取り巻く人間関係や生き様等厚みのある設定で読み手を最後まで盛り上げてくださった。今作も大満足の力作だった。
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