プライド(一条ゆかり)
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プライド(一条ゆかり)

一条ゆかり

読み応えはあるけど好みではない

ネタバレ
2024年5月14日
このレビューはネタバレを含みます▼ 画力、物語の構成、テンポは素晴らしく、読み応えがありました。ただ、ラストまで読んで感じたのは「金とコネがすべて」の物語だな…と。
史緒は気高く、努力家で魅力的なキャラクターですが、片親ではあるものの愛情深い父親、裕福な家庭と生まれた時点で圧倒的に恵まれすぎています。本人も徐々にそれを自覚してそれなりに苦労を味わって努力しますが、正直努力ができるのも努力すれば報われるという成功体験を彼女が得てきたからです。生まれ持ったアドバンテージを上回るほどの個性や魅力や強みを見せる場面がないままデビューして大成功を掴んでしまったように思います。
まあ金もコネも生まれつき得ている者が成功するのはある意味現実的ですが…。萌が母になる自覚を得たことで突然幸せムードになるのも、「子どもを持つことが女の幸せ」というメッセージを感じていまいち馴染みませんでした。子どもは人生を変えますが、親の人生を変えるために子どもは生まれてくるのではありません。子どもを育てながら歌とどう向き合うかで、ようやく萌本来の成長が見られるかと思ったのですが…ラストは残念でした。
あと好き放題やらかした神野が幸せになっているのが腹立たしい。不貞、あて逃げ、挙句に番外編では仮病で娘から妻を引き離して独り占め…。男はいつまでも子どもっぽいのが可愛いというのが一条先生の考えなのでしょうか?番外編は正直ドン引きでした。
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