このレビューはネタバレを含みます▼
事故で記憶の一部が欠落した瀬波は忽那と再会した1年前からの記憶がなく、曖昧で微妙な関係だった二人は忽那の「再会後にまた友達になった」の言葉で友達として過ごすことになる。
記憶喪失を題材にした作品は多く、数多ある展開の中の一つを辿っていくのかなと思ったら忽那が思いの外ジメジメ鬱々していて、瀬波の記憶喪失より忽那の心情に重きを置いている流れに少し驚いた。
それが他の記憶喪失モノと違って興味深かったけれど、なぜ忽那があそこまで悩み、瀬波から離れようとするのか、その背景がさらっと描かれるだけだから忽那がただの意気地無しで自分勝手な男に見えてしまう。
事故前の瀬波が忽那の部屋に入り浸っていた理由もこれまたさらっとしか描かれておらず、愛情に飢えている二人の苦しさや淋しさがあまり伝わってこない。もっと深く掘り下げて脆く依存的な忽那と瀬波の関係をじっくり見せてほしかった。
タイトルに《いなくなった》とある割に居場所はあそこだろうなとすぐに推察できてしまうのは拍子抜け。