箱庭のふたり
」のレビュー

箱庭のふたり

夏河シオリ

雰囲気で読む(良い意味で)

ネタバレ
2024年5月28日
このレビューはネタバレを含みます▼ ●短編集で、各話のページ数は立読みの目次で確認できます。『メガネと恋と青い鳥』は別作品(同名のコミックスあり)の番外編になっているようで、これだけでは何も分かりません。(ただ絵は良くて、攻はカッコイイし受はかわいい。)
●どちらの作品もふわっとした分かりにくさがあります。明快に「好き!」「俺も!」みたいなのはなくて、雰囲気で分かり合う感じ。
●表題作、描き下ろしも含めて好きです。小さな箱庭のような田舎町で、奔放な工藤と、優等生の椿。椿が工藤にやたら突っかかってくる理由は…。レールに乗って閉じこもっていた椿にとって導きの光のようだった工藤。惹かれる、でも…という葛藤が良かった。椿がそんな葛藤してる間に、工藤も椿のことばかり考えるようになっちゃって…
●椿にとって訣別の時間だったものが、工藤にはザクリと刻まれて、工藤の方が椿を探し回った…というのがまた良い。椿の方は「想ってる人がいる」っていう一言しか描かれないんだけど、十分かなぁ…。最後まで読んで、二人とも1年間想い続けてたって、ちゃんと分かります。
●『アンコントロール』スレた19歳と純朴な14歳…おぉ…。和臣は夕希に「お前みたいなガキ…」って冷たく当たるんだけど、諦められない夕希がなんとか追いつきたくてえっちなことや煙草を覚えようとする。結局和臣絆されちゃうんだけど、なんだかんだでお互い一目惚れだったよね。夕希が大きくなるまで純愛通すと思います!
●『罰として〜』店長の寺山と部下の白石。これまた分かりにくい…笑。寺山は白石にキツいノルマを与えて、こなせなかったらキスの罰…って、これ洗脳か?!寺山が白石に仕事人として期待してることはちゃんと白石にも(間接的に)伝わるんだけど…「好き」だったのかどうかは結局語られず。白石の方がしっかり寺山に捕まっちゃうんですよね。
●私はこういう分かりにくさは嫌いじゃないので、しっとりした雰囲気いいなぁ…と思いながら拝読してました。あと、単純に絵が好きです!
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