このレビューはネタバレを含みます▼
人気者のグループに属する男子と人と関わることを避けていた男子の爽やか高校生モノとしては読みやすいけれど、些細な引っ掛かりを感じる箇所が多々あり、何度もページを目繰り返してしまった。
クォーターで瞳の色が緑の秋庭は子どものころに嫌な思いをしたことがあって今はカラコンで瞳の色を隠している。ひとけのない場所でカラコンを外したときに冬城に瞳を見られ、「きれいなのに」と言われたことで冬城を構い始める。
最初は口止め目的だった秋庭も冬城と過ごす時間が楽しくなり、次第に冬城に対する気持ちが興味から好意に変わり、戸惑いから避けてしまったり、思い余って告白してしまったり、王道なアオハル感は良かったと思う。
でも、親しくなり始めた当初から秋庭は冬城のことを王子と呼んでいたのに、冬城が王子呼びを不思議がるのはかなり終盤で、今さら!? となるし、秋庭ファンの下級生が上級生である冬城に嫌がらせをするのはあり得る? と頭にハテナが浮かぶし、二卵性の双子である姉と冬城が似ているという設定なのに、周囲に全く気付かれないのは不自然だし、秋庭が冬城の母に頼まれてモデルの仕事をしに行ったのに、直前で断るのは大丈夫なの? と思ってしまうし、文化祭で冬城が「秋庭がカラコンしてなかったらやばかったかも」と言ったときの秋庭のコマが裸眼に見え、自分の目がおかしいのか? と何度もコマを確認してしまったし、タイトルに『冷たくしないで』とあるけれど、冬城の塩対応は割とすぐに軟化するからそんなに冷たくないよなぁと思ってしまったり、本当に些細なところに引っ掛かりを感じてしまい、秋庭と冬城の可愛いアオハルを楽しみきれなかったのが残念でならない。
そして、一番残念だったのは秋庭と冬城の幼少期の出会いが互いの回想の中で完結してしまったこと。無意識ながら好意を抱いていたであろう二人の出会いが雑に扱われているように思えて寂しい。