世界を壊さないのか壊せないのか

ネタバレ

2024年6月3日

このレビューはネタバレを含みます▼ まず表紙が素敵ですね。物語を最後まで読んでから見返すと、ヒーローの微笑みが意味深に見えてきます。ヒーローの秘密は途中で「ん？」と思う部分が出てきます。その他にもヒーローが服を着るようになった理由や、教皇達が閉じ込めっぱなしで非力なヒーローを畏れる理由も納得出来るものがあります。所々で感じる小さな引っ掛かりが終盤で次々と回収されていきます。
ただただ善良で信心深く生きてきたヒロインを変えたのは祖国と家族に起きた悲劇と神への絶望で、悪女になり神の子を堕落させ神罰を起こしてやろうと考えます。でもやる事が肉を食べるとかベッドでダラダラするとか…ヒロインは超真剣なのですがやはり世間知らずな元姫君なのです。だから余計に神罰が起こらない絶望感や無垢なヒーローを巻き込んだ罪悪感に一人で苦しむ姿が哀しいです。
ヒーローは生まれた時から一人でした。家族を亡くしたヒロインの感情を本当の意味では理解していなかったヒーローは、ヒロインを亡くしたと思った時にヒロインを完全に理解出来たのでした。

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うにころさん

(女性/50代) 総レビュー数：1件

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