初恋の君に、永遠を捧げる 一途な公爵は運命を超えて最愛を貫く【イラスト付き】
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初恋の君に、永遠を捧げる 一途な公爵は運命を超えて最愛を貫く【イラスト付き】

桜しんり/小島きいち

無知なヒロインと意志の弱いヒーロー

ネタバレ
2024年6月3日
このレビューはネタバレを含みます▼ ヒロインとヒーローが出会った子供の頃は身分の差なんか気にせず、純粋に会いたい、楽しい、だったのに、成長するに連れ、大人になるとはどういうことなのか、甘酸っぱいだけでなく、苦々しい部分も見せつけられたストーリーでした。貴族の中でも身分の高いヒーローの家。夏の一時期、別宅にいる間だけヒロインと過ごし、ヒロインの前でだけは自分らしくいられました。元貴族で平民のヒロインは底辺とも言える暮らしを経験し、今はそれなりの暮らしをしていたけれど、自分の家のことは隠していました。やがて思春期を迎え、二人は性にも目覚めていきます。ヒロインは一途で健気とも言えますが、無知で危なっかしいとも言え、ハラハラしました。ヒーローは貴族社会の自分を取り巻く事情を理解していたために、良い息子の自分と素の自分、理想と現実、決められた婚約者との間で、最善の道を探ってはみたもののまだ力もなく、自分だけの意思では身動きがとれなくなっていました。そんな状況でもヒロインに会えば恋心と欲望は膨らむばかり。ヒーローの婚約者の登場もあり、お互いに好きなのに少しずつすれ違いが生じていきます。はっきり言ってここからの数年間は苦々しい気持ちで読みました。辛いことに蓋をして、感情に溺れ、自分の行動の責任を取れるのかと、ハラハラしっぱなしです。身体ばかりが大人になっても、心や行動が伴わないことによる結果がなんとも苦しかったです。無知とは怖いことで、自分の意志を貫くには相当の勇気と覚悟と説得力がないとだめだということを、二人は長いこと遠回りをし、それ相応の苦労をして、身を持って学んだのだと思いました。やっとやっと結ばれた時にはホッとしました。どうしても保護者目線になってしまい、読んで楽しむという感覚になれませんでした💦
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