48歳で認知症になった母
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48歳で認知症になった母

吉田美紀子/美齊津康弘

脳が壊れているのは外から見て分からない…

ネタバレ
2024年6月6日
このレビューはネタバレを含みます▼ 私も長年介護の仕事をしてケアマネとなり、且つ自宅で両親の介護も現在進行形でしています。読んでいて涙が止まりませんでした…。認知症が人から理解されがたいのは脳の機能が壊れていてもそれは外見の変化がないためです。これが骨折とかなら腕にギプスを着けていれば骨が折れているから重いものは持てないな、と人から症状を理解してもらえるでしょう。作中のお母さまは認知症の初期の頃、壊れゆく自分に恐怖を覚えながらも必死に日常を保とうともがいてました。そのタイミングでご家族は良かれと思って引っ越しをしますが…認知症患者にとって最悪の結末となってしまいます。住み慣れた環境を変えてしまい、且つ昔の家は見える範囲内に、しかも引っ越し先の家主はお母さまのことを嫌っていて…。でもご家族のことは責められません。認知症という症状の特性を知らなければこの決断になるでしょう。お母さまの昔を知る家族だからこそ今の姿は受け入れがたく突き放すか暴言になってしまうか、、いま私が両親を何とかかろうじて在宅介護出来ているのも仕事で得た知識経験があるからです。それがなければきっと何でこんなことも出来ないんだと行き場のない感情を私もぶつけていたはず。作中のお母さまは残念なご最期となられてしまいましたが、話の結末には少しだけ救いがあり、原作者の方は今もケアマネとしてご自身の経験を基に同じように悩み苦しんでいる多くの方を救ってらっしゃっているのだと祈らずにはいられません。
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