ファンタジウム
」のレビュー

ファンタジウム

杉本亜未

悪意や絶望や狂気は控えめ

2024年6月12日
悪意や絶望、狂気といった要素がやや不足していると感じる部分はあるものの、そうした欠点を補って余りある魅力がこの作品には存在しています。よく作り込まれた多彩な登場キャラクター達の、それぞれが抱える葛藤や精神的成長過程は人生の縮図であり、多くの人が自己を重ね合わせ楽しむことができます。冒頭で書いたように悪意や絶望などが控えめであるため重苦しくなりすぎず、全体的に優しさや温かさを感じることができるようになっており、マジックという奇跡を通じて読者に希望や勇気を与えるポジティブメッセージが強調されています。また、物語の展開は巧妙に構成されており、一度読み始めると先が気になってページをめくる手が止まりません。マジシャンが主人公ということもあり様々なマジック関連情報を知ることができたのもよかったです。
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