ミドルエイジはやさしく愛したい
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ミドルエイジはやさしく愛したい

町屋はとこ

切ない、やさしい、あたたかい

ネタバレ
2024年6月16日
このレビューはネタバレを含みます▼ 読後に表紙を見返してほしいです。ミドルエイジだからの漂う哀愁と、深さとあたたかみ。表紙そのものな作品です。
45歳、自分なりの人生を送ってきて、パンデミックで仕事を失った者同志、旅先での出会いは必然だったのか、ギフトだったのか。誰かを大切にした事はなく、仕事は順調だった元ツアコンのイケオジ井田と、恋人を大切にしすぎてウザがられる元飲食関係の若見え駈は、旅先で運命的な出会いをします。どちらも不安定な雇用で独り身、そしてゲイ。刹那な出会いで終わらせられず、離れ難くなります。でも、それぞれの気持ちとはズレたところで、ライトな関係がモダモダと続くのです。ミドルエイジの二人、双方恋愛下手、それを自覚してます。これまで相手の気持ちを考えず軽く扱ってきた井田は、クズな自分からいつか駆が離れてしまうのでは?と不安。尽くしたい駆は、重たがられ、かけた愛情を返してもらえた事がなく、踏み込み具合を思いあぐねてます。世代もあるよね。10代や20代の勢いは無くなる。慎重になる。これまでの経験値がプラスにもマイナスにも働くので。若くもないけど、年でもない45歳の井田と駆は、愛し方も臆病でやさしかったです。初見イケオジだった井田は、多面にそうじゃない感が出ててきて、キャラが崩れます。駆は世話女房タイプで、男×男だったからダメだったのかな。普通に、気が利く良い子タイプだと思うけど。これまで上手く行かなかった恋愛が、ピタッとピースがはまって上手く行きますが、駆は相手が悪かっただけなんじゃ…と思えますね。とにかく、二人がハッピーになった時は、ライスシャワーを浴びせたい気持ちでした。傷つけ合わない、オジサン達の恋愛を見て!!人生いろいろある、中年の哀愁も飲み込んだ、それでも生きていく強さやあたたかさ。素敵なBLです。
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