恋じゃねえから
」のレビュー

恋じゃねえから

渡辺ペコ

最新4巻まで読みました

ネタバレ
2024年6月17日
このレビューはネタバレを含みます▼ 1122のこざっぱりしたいちこちゃんが大好きで、作家さん買いです。

「芸術」や「恋愛」にラッピングされて擬態した、まるで高尚なもののようなふりをした一方的な暴力を断罪する、そんな作品です。

1122は軽快でテンポ良く、重たいパートもサクサクと読めますが
こちらは鬱屈とした雰囲気が常に漂いながらも物語が大きく動いていく様が圧巻です。
こんな風にも描ける先生がすごいです。

最初は茜も「芸術」のラッピングに目がいって、「綺麗」だったから紫本人に作品のことを伝えます。
でも清廉で美しく施されたラッピングの「中身」を知った時に、その歪みと残酷さに憤りを感じる……。
その中身を知れたのは、紫が救えなかった友人だったからだけではなく、茜が大人になったからでもあるし、母になったからでもあると思います。

何をされているのかわからない、判断を出来ない子供を唆してまるで自由意志だったかのように捉えていたことが、そもそも「大人」が「子供」にしてはいけないことだと茜もやっと気付けたというところで
ましろくんのことがあって「自分の作品」だけに目がいって、ひとの心に無頓着で無神経だった今井がどう感じるのか、続きが本当に楽しみです。
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