恋人だけが思い出せない
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恋人だけが思い出せない

加東セツコ

あの場面が謎で読後感が悪くなった

2024年6月21日
今まで読んだ記憶喪失や記憶障害を題材にした作品のなかで、一番モヤモヤしたまま読み終わった作品となってしまった。


怪我で記憶障害を患った生雲が三人の男性だけ思い出せず、自分の家に出入りしていると思われる人物が男で、その男は恋人だろうという謎めいた導入に惹かれて購入。

読んでいくうちに恋人はあの人だろうなと推測できて、それは特に残念に感じたり簡単だと思ったりしなかったものの、恋人以外の男性も忘れてしまったことの整合性が見えず、逆に生雲のふわふわした浮気に似た感情の揺れが強く見えてしまったので、記憶を失った生雲へ同情とか心配とか、そういった感情がまったく生まれなかった。

生雲の育った環境を思えば仕方がないのかなと納得しかけたところでのあの場面。もう、あの人と個人的な関係はないはずと思っていたから、作者さんの意図が読めず、一気に読後感が悪くなった。
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