あまりにも繊細で色鮮やかな





2024年7月1日
作家さん買いです。「いわゆる普通」から少し取り残されぽつんと1人で立つ心許なさを優しくさりげなく掬い上げるような作風が大好きです。今回のお話はそこから一歩進んだ、掬いあげてから置かれた場所でのお話、という印象を受けました。揺れ動く感情や心象風景を、力を込めて引くとぷつっと切れてしまいそうほど細く、あまりにも色鮮やかな糸で描いていくような。美しくまぶしくもあり、生乾きの傷を目の前に突き付けられるようなヒリヒリとした痛みも伴うようで、読み進めながら涙を堪えるのに必死でした。苦しかった思春期を、作中の2人とともに歩み直したようで読み終わった後のすっきりとした明るさに救われた気持ちです。

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