liar[ライアー]
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liar[ライアー]

千代崎

刺さった

ネタバレ
2024年7月10日
このレビューはネタバレを含みます▼ インモラル。義兄弟。NTR。W浮気。幼少期の母からのトラウマ。千代崎先生の作品は、どこかにインモラルが刻印されていていたけれど、「liar」はインモラルの中に少しの清浄を施してる感じ。そう書くと気持ち悪そうでもありますが、BLとして、地雷も木っ端微塵に破壊して、咲くはずもない清廉な花を咲かせてしまった。ちょっとラストはお花畑だね、とも思わなくも無いですが、そこも含めて、私を満足させるBLでした。リアルだったら、クソ過ぎて嫌悪、軽蔑が乱れ飛ぶところだけど。
母に捨てられ、恵まれた家庭の秋と春兄弟の次兄になった圭。大学から家を離れ、10年、結婚直近の瑠璃子と同棲中。仕事も順調。でも、それは表向きの話で。俳優となった春と再会した圭は、春と一緒に離れていた10年を取り戻す作業に入ってしまう。圭は 結婚間近、でも何年もセック◯レス。瑠璃子にはしっかり浮気相手(もしかしたら本命)の俳優がいて、圭も分かっている。圭の方も、10年ぶりの春とのsexを受け入れている。でも、両家紹介をしたり、表面上は滞りなく結婚が進んでいる。同じベットで背を向け合って眠りながら。圭も瑠璃子も言葉にはしないけれど、社会的に婚姻関係を結ぶ事だけに、向かっているみたい。それだけで、瑠璃子サイドにも、昼ドラ的ドラマがある。瑠璃子にも最初は愛情があったと思うけど、隣で他人の名前を呼んで唸っている、セック◯レスの相手と、どんな空虚な気持ちで結婚進めていたのか。もはや、嫌がらせ?ビンタでもかまして別れたら良いのにって思う。帰る確かな場所が欲しくて、瑠璃子と結婚しようとした圭だけど、人生の先輩としては、そんな不確かなものに縋ったって意味ないよ、と言いたくなる。生い立ち的に気持ちは理解出来るけど。そんな、全然かっこよくない二人と、一途なクラッシャーの春。見る角度で、見え方は変わるけど、春と圭が実は一途に想い合い、不器用で10年回り道したというストーリーとして、満足したし面白かった。なかなかのメンツ、なかなかの拗らせ振りは、胸くそ案件も多かったりするけれど、長兄の秋、両親が善良でした。
千代崎先生は、作者さん買いする作家さんになりつつある。一途に弱いのです。
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