盲目の織姫は後宮で皇帝との恋を紡ぐ
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盲目の織姫は後宮で皇帝との恋を紡ぐ

深山靖宙/小早川真寛/凪かすみ

ちょっと矛盾が多い

2024年7月13日
話は一見面白いですし、絵も美しく主人公が高潔で好感が持てます。

「が」…よく聞く設定の東洋の後宮・身分の低い無欲な賢女・女同士の戦いとワンパターンであり、しかもそれらと違うのは皇帝が双子であると言うこと等です。

そのせいでかえってあれこれ現実味が薄く、アニメになった薬師の話(も、浅い内容の話ですが)と違い、薄っぺらく悪く言うと浅はかです。

過去の大陸圏の宮廷歴史よろしく、高貴な身分の女性達が皇帝の寵愛を求め激しく火花を散らし争う事に対し、双頭の高貴な龍(双子の皇帝)が逆に仲良くその儘存在しうる事など現実味が薄くあり得ません。

(双子は何処の国でも王族では、生まれてすぐに無駄な争いを避ける為に暗黙の了解で乳母らの手により(妊娠前から高貴な女性らはこう言う件では教育を受けており、双子が生まれた場合の片割れの処理を理解していました)片方は処理されるものでした。)

国に二つ頭があると言うことだけで、頭が無能であろうが有能であろうが下の方では勢力図が出来、争い事は絶えないことなど子供じゃなければ容易に想像出来ることです。ましてや身分の低い機織り娘が皇帝など自分より身分が上のものの求婚を断るなども馬鹿げたあり得ないことで、そこが賢女を描いているはずなのに主人公を物知らず・礼儀知らずにしてしまい逆に無欲ではなく浅慮に見えてしまいます。また高貴な人間が粗末な服を着て養蚕をしていたり所々の要所が薄っぺらい。

正直言ってお伽噺に度が過ぎていて、どのキャラをも魅力的にしようとするあまり、あれこれ風味を付けすぎ矛盾を生んでいます。作家はある意味お遊びが過ぎます。

中華の歴史や世界史(特に高貴な人々の生活)、高貴な人の求婚に応えられない下女が、無欲で尊いというような現代風味を付けすぎてしまい薄っぺらく子供っぽい。
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