口に出さなくても伝わるものを受け取る力





2024年7月19日
文庫版の千津美と藤臣君のシリーズの2巻目。話としてはシリーズ1巻目にあった6話の続きの3話分(7~9)が収録され、シリーズ以外の収録は無し。ララ誌の人気シリーズとして続いた作品の後半部分のこちらは、各話の頁数が多い。最多頁数の「銀色絵本」がタイトルに。
丁寧な作品作りがとても伝わる。
これまでのお馴染みの登場人物も居れば、新たな敵役?も加わり、今や異なる大学に通う二人の人間関係の広がりや、藤臣君の過去のことも触れられて、千津美と藤臣君の揺るぎなさが更に深まるという感じ。一匹狼的存在だった藤臣君のいいところに気づいていたとの自負を持つ自信家の存在が、この9話目の主な揺さぶりどころ。
1~6話内もそうだったが、不良が町のチンピラまがいと化して、出会い頭的に悪さをしており、間接的には奴らは誰かに繋がるというもの。チンピラが絡んでくるというのは今ではまず聞かないが、過去の経験を語ってくれた後輩も昔居て、当時は今より体感治安は良くなかった部分は確かにある。男性同士の暴力による解決?、も、漫画だけの話ではなかった。全く歓迎するような事ではないが、絵空事ばかりということではないイメージ。
このカップルの好ましかった点は、いちいち説明をしなくても通じる二人の感じの良さだろう。
とかく言葉にすがるというか、言葉を求めすぎる恋愛物が多い。それはそれで、口にしなくても判るだろ、的なものを乗り越えて、敢えて口にすることも感動のドラマがあることは承知している。しかし、口のうまさで口説かれても薄っぺらさを覚えるのも一面、また事実なのである。藤臣君の言葉数の少なさと、表情の乏しさを逆に魅力とし、反面無理解な周囲が無闇に怖がる、というキャラ設定はストーリー中過去の対立相手の再会で役立ったが、私は、藤臣君が秘めている優しさを千津美が理解するほどにまで、二人の心の結びつきを深めた描写が良かったと感じた。もうひとエピソード欲しかったくらい。ただし、終始自己卑下が強い主人公、当時は少女漫画ではお馴染みな性格ではあっても、シリーズ物の中で何回もやられると、しかも過剰演出とも取れるシーンを何度も見せつけられると、私は飽食気味。
全288頁。
パステル気分(1982年ララ8~10月号)80頁。
銀杏並木から(1981年ララ10月号大増刊)16頁。
銀色絵本(1984年12月号、1985年1~5月号)177頁。
丁寧な作品作りがとても伝わる。
これまでのお馴染みの登場人物も居れば、新たな敵役?も加わり、今や異なる大学に通う二人の人間関係の広がりや、藤臣君の過去のことも触れられて、千津美と藤臣君の揺るぎなさが更に深まるという感じ。一匹狼的存在だった藤臣君のいいところに気づいていたとの自負を持つ自信家の存在が、この9話目の主な揺さぶりどころ。
1~6話内もそうだったが、不良が町のチンピラまがいと化して、出会い頭的に悪さをしており、間接的には奴らは誰かに繋がるというもの。チンピラが絡んでくるというのは今ではまず聞かないが、過去の経験を語ってくれた後輩も昔居て、当時は今より体感治安は良くなかった部分は確かにある。男性同士の暴力による解決?、も、漫画だけの話ではなかった。全く歓迎するような事ではないが、絵空事ばかりということではないイメージ。
このカップルの好ましかった点は、いちいち説明をしなくても通じる二人の感じの良さだろう。
とかく言葉にすがるというか、言葉を求めすぎる恋愛物が多い。それはそれで、口にしなくても判るだろ、的なものを乗り越えて、敢えて口にすることも感動のドラマがあることは承知している。しかし、口のうまさで口説かれても薄っぺらさを覚えるのも一面、また事実なのである。藤臣君の言葉数の少なさと、表情の乏しさを逆に魅力とし、反面無理解な周囲が無闇に怖がる、というキャラ設定はストーリー中過去の対立相手の再会で役立ったが、私は、藤臣君が秘めている優しさを千津美が理解するほどにまで、二人の心の結びつきを深めた描写が良かったと感じた。もうひとエピソード欲しかったくらい。ただし、終始自己卑下が強い主人公、当時は少女漫画ではお馴染みな性格ではあっても、シリーズ物の中で何回もやられると、しかも過剰演出とも取れるシーンを何度も見せつけられると、私は飽食気味。
全288頁。
パステル気分(1982年ララ8~10月号)80頁。
銀杏並木から(1981年ララ10月号大増刊)16頁。
銀色絵本(1984年12月号、1985年1~5月号)177頁。

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romance2 さん
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