今日もきみとはじめての夜を 大きな熊さん先生は怖がり小鹿を甘く溶かす
いぬぞの
このレビューはネタバレを含みます▼
優しいひとたちが真面目に恋を始めて、一生懸命幸せになっていこうとする、とても優しいお話です。ただし、可愛い絵柄であくまでもやさしいストーリー運びなのに、何故かめちゃめちゃしっかりえっちです。どういうことなの。
ヒロインを傷つけたことがある元カレはいるにはいるのですが、そいつを見返してスカッとするような話ではないです。悪意や陰が描かれることなく、ただただ全て優しく優しく鳴る音楽みたいなストーリーなのは、絵柄と主人公たちの人柄によるものでしょうか。でもえっちなのがたまらんです、ハイ。
普通に真面目に等身大で暮らしているりささんに、想いを寄せていた同僚の大きな熊さん先生こと桃吾さん。ごはんを食べるようなお付き合いなら…と交際が始まります。
物理的にも精神的にも包容力のある優しい彼に大事にされている実感から、次第に心を許していくりささん。しかし、ラキスケ的ハプニングから見てしまった桃吾さんの『いい身体』に思うところあって自分からアクションを起こすりささん…。されるがままの受け身ヒロインではなくて、やっぱり一生懸命このひとと恋をしようとがんばって勇気を出す姿が健気だし、結構強いところはすごく好きです。
あといい身体を見て明らかに惹かれてしまっている俗っぽさ(梨木ビジョンのきらめきとときめき)も感じられて、ギャップがあってイイ!
この作品全体がそうなのですが『そこでその言葉を選ぶのか』と登場人物への好感度がぐぐっと上がるシーンが何度も訪れます。何気なく出た言葉だろうからこそ、ふたりが本当に真面目で健気で優しくて思いやりがあることがビシバシ伝わってきます。
いかにも温かそうな人に見える熊さん先生の言動はもちろん、無表情で冷たいと思われがちなりささんも『さりげない、しかし大事なところで選ぶ言葉を間違わない』から、その優しさも弱さも強さも全部伝わってきます。
りささんが桃吾さんに本当に大切に大切に扱われているので、心から安心して読めます。本当に優しいふたり。かわいすぎる絵。でも本当にえっちで癒やされる…どういうことなの…とまた読み返すことになるのでした。続きが待ち遠しいです。
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