このレビューはネタバレを含みます▼
かなり人を選ぶ作品だと思います。というのも、悪役令嬢ものによくいる『頭お花畑ヒロインとクズ婚約者』が本作の主人公とヒーローだからです。ヒーローは婚約者がいるにも関わらず主人公と関係を持ち、それを全く悪いと思わないどころか、婚約者のことは愛してないからいずれ婚約破棄するつもりだった、婚約者のことは気にするなとかほざく無責任クズ男だし、主人公はヒーローに婚約者がいることを知りながら何度も関係を持った上に、まっっったく罪悪感を抱かない&葛藤もしない悪女です。しかも、婚約者が怒りのあまり主人公を暴行しようとしたら、ヒーローはブチ切れて婚約破棄を叫び、そもそもの元凶な自分の不貞を棚上げして一方的に断罪、主人公は主人公で、自分がヒーローと浮気したせいでボロボロになった婚約者に向けて、被害者ヅラしながら上から目線で説教をかますっていう…最悪のムーブ。一昔前ならともかく、婚約破棄系の作品が流行ってる今の時代でこの話は一体どの層に向けて描いてるんでしょうか。転生令嬢ものでお馴染みの、クライマックスで悪役令嬢が婚約破棄されるとかいう似非乙女ゲームを、ファンタジーだなぁと思って見ていましたが、まさかリアルにそんな作品が存在するとは思いませんでしたよ。
そもそも聖女が来ることが分かってたっぽいのに、その聖女と絶対関係を持たなきゃならない王族の男に婚約者を宛てがってる時点でおかしい。多分、作者さんが深く考えずに話を作った結果なんでしょうけど(伴侶がいようと王族が聖女と関係を持つのが良いこととされてるとかならまだしも、作中にそんな説明ないので恐らくそんな設定はない)、これは読み手を選ぶと言わざるを得ませんね。百歩譲ってヒーローはそういう価値観だから、で許されるとしても、ヒロインは現代日本から来て、しかも心清らかって設定なのに浮気行為を平然とやらかすのはおかしいでしょ…。
それ以外にも、聖女を狙って他国が突然王都を襲撃して沢山被害が出た!みたいなのも、なんで他国の鎧着た目立つ軍隊がなんの弊害もなく王都まで来られるんだよ防衛機能どうなってんだこの国と思わされたり、そもそも他国から狙われてるヒロインに護衛付けてないのはなんでやと思ったり…なんかもう行きたありバッタリというか、設定をよく練らずにノリで話を作ってるなこれ…と、思わされた作品でした。あと絵柄が昭和なのも人を選ぶと思います。