冴えない僕が君の部屋でシている事をクラスメイトは誰も知らない
」のレビュー

冴えない僕が君の部屋でシている事をクラスメイトは誰も知らない

ヤマモトタケシ/ももずみ純/アサヒナヒカゲ

途中までとても良いが…

ネタバレ
2024年7月29日
このレビューはネタバレを含みます▼ 最終巻まで非常に良い展開なだけにやや残念な最後を迎えます。間違いなく途中までとても楽しめたので、せっかくだしどうしてざんねんに感じたかの感想を残しておきます。

まずセ◯レである高井さんとの関係性を「誰がみても悪い」と高井さんも遠山自身も感じていて、このまま上原さんと付き合ってくのはよくないのではないかという心理描写が何度も出てきます。
つまり、読者は「最終的にこのセ◯レ関係をどうにかする」「上原さんか、高井さんか選択させられる」展開を自然と予測することになります。
終盤戦、遠山と高井さんは二人でいるところをパパラッチされて脅されかけたり、嘘を絶妙に重ねたり、上原さんも遠山のゴム購入について言及したりと、セ◯レ関係の核心にせまりつつバレたらタダでは済まないと想像できる振りが発生します。
ここで読者は予測が確信に変わって「これから上原さんに最悪の形でバレてしまって、決着をつけるために葛藤と対立と意思決定がされるんだ」と期待します。しかも、それは読者が最初からずっと一番見たかったもの(序盤から触れられているわけなので)です。

問題は、その期待される展開がごっそり存在せず、セ◯レ関係もバレないしライバルは図星を突かれただけで帰るし、最終話で上原さんがなんやかんやセ◯レを受け入れていて何の問題も発生せずに終わってしまったことでしょう。 映画のクライマックス手前からごっそり存在しなかったに等しい仕打ちです。
もはや何のための序盤かわからなくなりました。倉島も幼稚なクソガキキャラならあの場で全部バラしてやってもいいくらい遠山に本当のことを言われています。当然「いい振りだ!もっとやれ」と期待してしまいました。

これにはさすがにがっかりを通り越して悲しみすら沸きました。途中まで実に丁寧に描写していた分、しっかり腰を入れたフルスイングの展開が見れると思っていたし、面白いと本当に思って読んでいただけに、久々にお金返して欲しいとまで感じました。

もしかしたら打ち切りで畳むしかなかったのかもしれないし、何らかの理由があったのかもしれない。そう邪推してしまうほど途中まで完成度がありました。

次回作は最後まで走り切って欲しいと切に願います
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