親愛なるジーンへ 2(特装版)
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親愛なるジーンへ 2(特装版)

吾妻香夜

BL界のグッド・ウィル・ハンティング

ネタバレ
2024年8月19日
このレビューはネタバレを含みます▼ 読了後は「ラムスプリンガの情景」と同じく、小説や映画を見たような満足感があります。
高級BLなので、ぜひ夜に紅茶かコーヒーを準備して、ゆっくり読んでください。

1巻で救い救われた2人から一転します。小さな世界から、自由で大きな世界に出たはずのジーンが、知識を得ることで世界が小さくなってしまった事に葛藤するシーンがとても印象的でした。知識を得れば得るほど、過去の自分や村での教義、親への否定に繋がり、若さ故にか白黒つけようとしてそのドツボにハマる感じがマッド・デイモン演じるウィルっぽくて、知性とはいろんなベクトルがあるんだなと思わされます。

年齢差や罪の意識など、対等ではない状態で始まった彼らの関係では何かを清算しないと次に進めない状況に陥っていく… そんな中で優しい答えを出すヴィクターがロビン・ウィリアムズ演じるショーン先生と重なり、自分にもグッサリ刺さる内容でした。

吾妻先生の作品は、そういうシーンじゃなくても熱気を感じてしまうので、涼しくなった頃の夕方もしくは深夜、または早朝の時間帯に読むとより素晴らしい余韻を感じることができると思います。
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