このレビューはネタバレを含みます▼
モラハラ夫は夫が立ち直り、夫婦間が修復するのはレアケースとは言え当事者だった立場から詳しく経緯や心情が描かれ、どうせスカッとジャパンだろ?と思い読んだ自分を恥じたほどの良い読後感だった。
ただ毒父は当事者から離れた会社の勤務体系や人間関係が出てくる分、都合の良い働き方改革の担当者出現とその成功、パワハラ上司の失敗が描かれており興醒めしてしまうことがあった。
特に働き方改革は毒父が間接的に同居人の息子に影響を与えたと言えなくはないが、それと理解ある彼くんという娘自身の能動的な行動はないまま「運」に救われただけという点は非常に疑問。
これにより構図によっては毒父は家族を犠牲に仏という人格を手に入れて擬似家族と共に幸せな余生を過ごしました、娘はこれからも毒父の影と闘い続けるにも関わらず、となってしまう。タイトル通りではある。
安易に許されない点など今回も良い点はあるが、娘が不憫なので読後感は正直良くない。もう少し毒父と娘のバランスを取って欲しかった。それかリアルなのかもしれないが。
前作の一つの家族から、自身、娘、同居人、会社など風呂敷を広げた分いびつな構図になってしまったなという印象でした。