暁のヨナ
」のレビュー

暁のヨナ

草凪みずほ

バランスの良い大河ファンタジー

ネタバレ
2024年8月24日
このレビューはネタバレを含みます▼ ◯天命を負う王女の成長物語です。24巻まで読みました。箱入り娘のお姫様が、父親を従兄弟(且つ幼馴染で思い人)の手で失う、衝撃的な展開で物語が始まります。ヒロインは王宮に居られなくなり、やはり幼馴染で軍幹部のヒーローと旅に出て、建国神話にある超常の者たちを探しつつ国内外の諸問題の解決にあたる、というのが24巻までの大筋です。
◯ヒロインが伝説の龍の生まれ変わりで、その従者たる四龍と国を救う、というスケール感に相応しく、世界観が作り込まれています。各々のキャラクターも魅力的で芯があり、時折ラブを挟みながらも繊細な描かれ方をしているので、読み込んでいけば「このキャラはこんな幼少期を過ごしただろう」などと行間(コマ間?)が見えてきます。◯話自体にも奥行きがあり、20巻を超えてもヒロインの父が生前何を考えていたか(暗君でもないのに国を継がせる娘に何も教えないってどうなの)、ヒロインの敵になった従兄弟が彼の叔父を弑逆した理由(何故軟禁などにできなかったか)など、核心部は隠されたまま時折チラ見せ。飽きずに読める話運びの上手さが素晴らしい。がっつり時間をかけられる、読み応えを求める方に向く作品です。◯ただ、、普段少女マンガを読まない人、特にリアリティを求める方には、良いようで良くないかもしれません。話がシリアスなので忘れがちなのですが、やはり17、8の女の子の心情が話の軸なのです。国の継承権を持つ者がその立場を露わにして他国や地方の長に対したら、ましてや中央と異なる態度を取ったらどうなるか、までは考えられないし(その意味ではリアルなんですけどね…)、そういった視点を持つ人が近くにいない(元将軍のヒーローがいますが10代で、ヒロインに惚れているせいか観点がヒロインに寄りすぎ)のが、大人読者には歯痒いです。◯私の場合、ヒロインの、国にとっても自身にとっても危険な行動が、何の悪影響もなく「ヒロインかっこいい!」的な話の通過点になってしまったので、読み進められなくなりました。わかっていても巻数が多いと期待してしまうんですよね…相性の問題で、作品の質は文句なしなので、割り切って没入できる方におすすめします。
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