半分あげる【単行本版(シーモア限定描き下ろし付)】
有馬嵐
このレビューはネタバレを含みます▼
すごいものを読んでしまった。高校生の逃避行劇。あらすじを読みまず頭に浮かんだのは、この闇からは逃げ切れないだろうという悲観的意見。
純粋培養な黒川×不憫すぎる白木。(白木いわく)キラキラ綺麗な黒川の方が「黒」で、劣悪な家庭環境に育った白木の方が「白」なのは、何か考えがあってのことか。
とにかく白木の生い立ちがひどすぎる。
並の人間なら恨みで自滅に向かうところを、白木は使えるものは全部使って、強かに、懸命に生き伸びた。しかし力及ばずの黒川にとっては、逃避行が暗く辛い思い出となってしまった。
まさか、あの幼い時間がその後の白木を強く支え、黒川とのたった37時間を糧に生きているとは知らずに…
腐らず真面目に生きてきた白木の徳がそうさせたのか、成人してからしばらく、天文学的な確率で2人は再会。それからは多少の葛藤を経て比較的とんとん拍子にくっつきます。
身をひさいでいた白木はネコしかやったことがないので慣れた手つきで黒川を迎え入れようとするのだが、黒川は「こわい」と言ってタチをしなかった。こわいって、自分も白木の身体を道具のように扱う“お客さん“になることが嫌だから?なんて、勝手な想像。
幸いポジションが逆でも満足できたみたいで、読者としては嬉しい限り。これからは脇目もふらず幸せに暮らしてもらいたい。そしてひとこと言いたい。白木の母ちゃんはクソ。
※番外編も良かった。こちらはより一層ラブラブでした。
新婚そのものやんけ。それにしても白木、あれだけの不幸に見舞われてよく闇堕ちしなかったな…
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