このレビューはネタバレを含みます▼
この作者さん、こぼれる、とみっともない恋を続けて読んで好きになり何作か読んだけど、読んでる最中って体の中のよく分かんない部分が痛い?むず痒い?ってなる…いい気分のものじゃぁないです。
やっぱり器用に生きられない人の物語に興味があるわけで、まちはその典型だったけどそれ以上に正和を支配してるものが邪悪。正和がまちに自分と兄をなぞっているのが気持ち悪いのとそうだよな、てのでゾワゾワした。
正和の最大の防御が嘘をつくことだったのが、子供ん時からの見てたら理解できるし、抵抗し続けるよりどっかで諦めちゃったほうがずっと楽なのも想像ではなく実感としてよく分かる。兄にも自分自身にも上手く嘘ついて生きながらえてる。
兄登場したときは絶対コイツヤバイ奴だろ?!て思ったけど上巻終わる頃にはアレ??私の勘が当たらないだと…?くらいにはわかんなくなってました(笑)正和とまちがこう成長したのは理解しやすいけど兄の譲はどうだったのか。親の影響もあるだろうけど、生まれ持ったものも大いにあるように思う。譲こそワイドショーなんかで『理解できない』『自分とは関係ない』人ですまされちゃうのかな。譲の物語も読みたいと思っちゃった(ハッピーエンドになるかは知らんけど)。
上下巻たっぷり堪能できて最高だった〜何よりも2人がめちゃくちゃ好き合ってるのが分かりやすかったので思ったより落ち込まず読みやすかったです。色んな人とヤりまくってんのも身体に兄の痕跡が増えていくのもまやかしみたいなもので、白んだ朝の中にいる2人は呪縛から解放された清々しさを感じられました。