このレビューはネタバレを含みます▼
50Pほどの試読で続きが気になり購読。そう、布石はとても良かったんです。「このキャラやこの左手は後々こう使われるのかな」って期待させてくれました。最後まで読んだ感想は、「自然主義文学??」(素人イメージです、すみません)…エンタメ性にもの足りなさを感じました。一応ハピエン、ではあるのだけど、着地の仕方というか経緯がパッとしなかったかなあ、どんどん低空飛行になってったというか、都合よく各キャラが撤退していっただけで期待した場面は全て端折られてたというか… 左手の大きな変化にも、読者同様トウジが自ら気付く、問いかける、かと期待してたのに…肝心のトウジが迷ってうだうだ周囲に甘えてるだけで、期待に反してどんどん煮え切らないキャラになってって、終盤では「え、これで終わり?何もしてなくない??」って思ってしまった。他のキャラ達も、配置はどれも良かったのに。見せ場を端折られて終わった感じ。「そこに至る感情ややり取りを効果的にくらいたかったのにー!」って。勿体ないことこの上ない。美味しそうな食材を見て調理中の香りも良くて期待したけど、食べてみたら全調味料控えめみたいな…そういう、漫画としての派手さが足りなくて残念に思ったのかも。でも決して丁寧ではない訳ではないです。キャラたちのうだうだした想いや会話の中で読者も一緒にいろいろ迷う、最後まで読者に行間を委ねる…というのが狙いだったのならこの見せ方でも仕方ないのかな。派手さのない会話の中に、自分なりに何かを見出すみたいな…それこそ、美化を削ぎ落した自然主義文学みたいな。自分には物足りなく感じてしまう風呂敷のたたみ方というか演出なので、新作が出ても購読には慎重になる作家さんかも。すみません。