路傍のフジイ
」のレビュー

路傍のフジイ

鍋倉夫

ありがとう藤井さん

ネタバレ
2024年9月14日
このレビューはネタバレを含みます▼ 特に何か大事件もなく普通の日常が続くのですが藤井さんを見てると何故か涙が出てきます。

自分でも気づいてなかったけど初めての社会経験で週の半分は飲み会で常に上司の隣に座らされて接待。お酒も飲んだことないし父も飲まない家だから水割りの作り方なんか知らなくて酔っ払いに業務外で怒られる日々。当時は残業も多かった上に課で飲み会断る人なんてまだ一人も居ない時代で飲めないのに飲まされたり何度嫌な目にあったことか…。
藤井さんの会社の社長が若い女性社員に“自分の好きな歌うたえ”って言ってくれたこと。そんな当たり前が皆無だったからすごいいいなぁって。
父と同じ仕事に憧れてただただ仕事したかっただけなのに。上手く立ち回るのに精一杯で常に微笑んでたけど上手くやり遂げたと今まで思ってたけど、心の中は本当はすごく傷ついてたんだって藤井さんと鍋先生のおかげで気づきました。ありがとうございます。

とても繊細な本です。心に来ます。多くを語らずとも読者に気づかせてくれる鍋先生の作品が素晴らしいです。新刊でてすぐ購入しました。
私にも藤井さんが必要でした。
いいねしたユーザ9人
レビューをシェアしよう!