うるわしの宵の月
」のレビュー

うるわしの宵の月

やまもり三香

何度も読み返したくなる作品

ネタバレ
2024年9月24日
このレビューはネタバレを含みます▼ 大人になってから、10代の頃に読んでいた少女漫画を読まなくなっていました。主人公がだいたい学生さんであるため、自分はターゲット世代を過ぎてしまっている…といった引け目からです。
ところがコロナ禍、思わずスマホで漫画を読みはじめたら止まらなくなった勢いで少女漫画にも手を出し、やまもり先生の前作「椿町ロンリープラネット」に出会ったのでした。こんな素晴らしい漫画家さんを知らずに生きていたなんて!の後悔とともに、中年になってからの少女漫画探訪が始まります。
思い入れがあり過ぎて前置きが長くなりましたが、本作も「デザート」連載開始を楽しみにしており、第一話を読んで、前作からさらに美麗になった絵にまずは驚愕し感激しました。ですがやまもり先生の魅力は当然ながら絵だけではありません。
とにかくキュンの総量がとんでもないです。読者にドキドキを与えるための話の運び方、コマの見せ方、本当にお上手だと唸らされます。何度も読んでキュンとしています。恋愛初心者っぽい宵ちゃんのモノローグもたまに小っ恥ずかしくてそれがいい。
突拍子もないちょっと変わった設定が組み込まれていることもやまもり先生の作品の特徴といえば特徴かもしれませんが、そこに生きる登場人物たちは人間くさく不器用でちょっとリアル。彼らが時にぶつかり、悩み、すれ違いながらも少しずつ成長してゆきます。
なにが言いたいかといいますと(好きすぎて混乱)登場人物の感情を細かく丁寧に描いているからこそ、物語で恋愛が展開してゆく際に読者が得られるカタルシスも大きいのだろうなと勝手に思っています。
同じ気持ちの方を探すためレビューもよく見ていたのですが、勢い余ってついつい私もレビューを書いてみました。
ゆっくり時間のある週末によく全巻読み返してはキュンとしてます。お祭りの回は少女漫画史に残る名シーンだと思っています。
今後の展開も楽しみにしています🙂
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