メルティホワイトアウト[コミックス版]
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メルティホワイトアウト[コミックス版]

鯛野ニッケ

鯛野ニッケ先生の叙情的作品

2024年10月1日
素敵な作品をありがとうございます!まずは感謝を。今回の作品は、私の知る範囲で先生の作品でもっとも叙情的な作品と思いました。表現者が表現者を描く時、その作者さんの想いが滲み湧き出るんでしょうね。特に先生の漫画好きは普段から伝わってきていましたから、今作では尚更でしたね。「演劇という山の前では誰もが挑戦者」そして「遭難者」でもある。こんなに繊細な感情を鯛野先生が書くんだぁーと感動しながら読ませて頂きました。普段の作品ではストーリーやキャラクター、テンポを活かし、感情を押さえ込まれて作られているように感じますが、今回は良い意味で違いましたね。新しい魅力満載でした。体幹予報の漫画という設定より、少し距離の置いた演劇という設定の方が先生の気持ちを乗せやすかったのかもしれません。と言いつつ先生ならではの魅力的なメインキャラのボケとパワフルモブ女子は健在で、繊細かつ笑いあり。表現者の嫉妬、歪みを描き始まる作品ですが、進行は静かで爽やか、この内容を爽やかに描ける手腕がすごい。もう読んでいて心が気持ちいいです。また煮詰まった2人を打破するのがこのパワフルモブ女子ですからね。展開が天才。例え辿り着かなくても挑戦の中に身を置いたなら、その終焉の時はきっと穏やかであろうという先生の覚悟、信念なのかな、想いを感じました。漫画が大好きで、愛し、身を投じた先生がこの山を絶えず挑戦し続ける中で、出会う人、過ぎる道、たどり着く場所、感じとる全てが豊かでありますように。ありがとうございました。
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