両性α~生意気キメラは逆らえない。~【単行本版】
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両性α~生意気キメラは逆らえない。~【単行本版】

伊藤良

オメガバース、まだまだ楽しめるゼ

ネタバレ
2024年10月18日
このレビューはネタバレを含みます▼ 特殊設定オメガバースです。設定もちゃんとしてるので安心して読めます。本能に気持ちが追いついてくパターンが好きなんで読み進めるのが楽しかったです。
二宮の伯父さんが素晴らしく出来た人で、自分は人生において運命や偶然、必然がどういうものかと断定的にしちゃうのは好きじゃないから人それぞれの定義で良いと思うんだけど、彼が二宮へ残した言葉は優しくて美しい。去った妻を恨み二宮に呪いの言葉を吐いてしまってもおかしくなかったのに、一時でも心から愛し合うことが出来る人に出会えたという歓びを否定せずに、後悔という楽な道に走らない強い人だったんだなって思いました。人によっては不幸な人生に見えるかもだけど、二宮の前でしっかりと幸せな人生だったと言った伯父さん好きだわぁぁ…。
だからこれが運命なんだって目の前にドーンと現れてもただ翻弄されて受動的になるのでなく、自分の人生を自分の足で歩いてる実感を持つことが重要で、それが運命の番を二人持つキメラって設定が効いてるんですな。でもキメラってこの作品の特殊設定というか、ただそういう人が他の作品でたまたま登場しないだけでオメガバース自体のデフォでもおかしくないよなー。男女の性と同じようにグラデーションがあるみたいなもんでしょ。セクシュアリティの揺らぎの中で自分で決めることも出来るしそのままを受け入れるのもアリだと思う。
αの能力の高さや後天性でΩとしての子供を産む機能が働かないなど人間のあれこれが上手いこと描かれてて面白すぎ!すれ違ってく時のズレもまた上手い!!
下巻は2人が試される場面が多いから読むのしんどいかな〜って思ったんだけど色々自分の中で咀嚼して考えられる事が多くて面白いが上回ってた感じでした。
恋羽ももう一人の運命として興味深いキャラクター。一ノ瀬へ向かう本能以外での感情が二宮との関係性とは違っていたのもあって心配せずにすんだのかも。彼には是非海里と幸せになって欲しいなぁ。ちゃんと心で自分の運命を手に入れて欲しい。
まだ語り足りないけど、オメガバースやっぱり面白いなあ〜て改めて思えたお話でした。
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