小国の侯爵令嬢は敵国にて覚醒する
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小国の侯爵令嬢は敵国にて覚醒する

守雨/藤ヶ咲

文章に艶は無いけど面白くは読める

ネタバレ
2024年10月20日
このレビューはネタバレを含みます▼ コミカライズの続きが気になり、小説の方も読んでみました。こちらはイラストが綺麗。サクサクと進みも早いです。文章やセリフが簡潔というか、悪く言えば無骨というか…大雑把で情緒や可愛げが薄いので、そんな印象なのだと思います。なのでキャラの心情に共感しながら読み進めるというより、ヒロインの仕事っぷりを俯瞰で眺めて楽しむ感じ。もちろん、恋愛描写にはあまり期待せずといったところ。とはいえ全く期待できない訳でもなく、程好く、長きにわたって上司と部下、同志といった距離感でセシリオとヒロインの関係は築かれていきます。セシリオがヒロインに無理難題を吹っ掛けたり、搾取している風にも見えますが、そもそもヒロイン側の王国が悪意を持って小細工をしたせいだし、セシリオは帰宅早々にヒロインを虐げた使用人たちをきつく叱っています。セシリオと交渉の上でヒロインは希望通り自由に仕事をし暮らしているし、利益をセシリオ(国)に還元したいと思っているし、セシリオはそれを見守り協力し、その恩恵を受けているに過ぎず。セシリオはセシリオで、独自にきちんと精力的に奔走しています。序盤以外はヒロインの希望通りの良好な関係で、安心して読み進められます。とはいえ、個人的な希望としては、もっと文章に情感や繊細さを込め、心の機微や恋愛要素も盛り込んでくれたら満足できただろうなと。幸い、序盤の文章を読んでいてそういう艶めいた要素は早々に諦め、簡潔な事業開拓の様を楽しんで読むことに徹したので。文章やセリフに情緒があれば☆5にしたかったです。
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