魔王と勇者の戦いの裏で
」のレビュー

魔王と勇者の戦いの裏で

涼樹悠樹/山椒魚

ゲームファンタジーの隙間を埋める転生譚

2024年10月20日
コミカライズの4巻までを読んで、面白かったので原作もイッキ読み。(現時点5巻)本作は勇者が魔王討伐に至るまで、転生チートをアドバンテージに国防を担う中心人物として活躍する勇者の友人(モブ)の物語りです。転生モノはいろんなアプローチの作品があり、転生先がモブキャラと言うのも既にジャンル化しているし、主人公がゲームストーリーを熟知していて難局を回避するシナリオも最早セオリーである。その渋滞気味な昨今のカテゴリー内で、巧妙にオリジナリティを生み出している。その特異点は「RPGあるある」を理にかなう迄掘り下げて考察し、転生先の世界の物理法則、生態系、自然科学として読者に「現実感ある異世界」として理解させる点である。ドット絵のRPGで遊んでいた頃は「そーゆーもの」として右脳で受け止めていたアレコレを左脳で読み込む物語りになっていると言うか。よって、主人公による蘊蓄と考察が多くを占める内容となっているので、読む人を選ぶかもしれない。が、それが苦手という人はテンポ重視で上手く要約されたコミカライズで楽しめる、良メディア展開作品。因みに、キャラデザは圧倒的にコミカライズが優秀。小説勢もビジュアル補完として読んで損なし。です。
いいねしたユーザ3人
レビューをシェアしよう!