半分あげる【単行本版(シーモア限定描き下ろし付)】
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半分あげる【単行本版(シーモア限定描き下ろし付)】

有馬嵐

子供の子供たる行動からの希望

ネタバレ
2024年11月1日
このレビューはネタバレを含みます▼ それまで白木のまわりには白木に差し伸べる手はなかったのか。1日1回必ず食事(弁当)が用意されるようになったとあるがそんな状況なら学校や周囲は全く気付かないものなのか。友人の中でも笑顔を貼り付けた顔は不自然ではなかったのか。出会した突然の状況にそのままの勢いで行動した37時間。どうしたらその状況から脱する事が出来るかまでは考えようとしない。でもそれは仕方ないのかもしれない。逃避行だけ。その状況下にある人間はその狭い世界が全て、絶望の中にいるのだ。子供の子供たる行動だと思う。黒川にしてもその後の行動はまだまだ子供なのだ。だからといって彼を攻めることは出来ない。彼はきっと初めて白木の希望となったのだと思う。そんな彼等が自立してからの出会いはじっと仕舞い込んでいた気持ちを少しずつ共有していくことから始まる。過去の悲惨な状況と相反するようにとても優しく描かれている。
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