しゅきしゅきMAXハート
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しゅきしゅきMAXハート

山野でこ

単純なタイムリープものではない

ネタバレ
2024年11月11日
このレビューはネタバレを含みます▼ 作者さんの『コミックパーティー ワンダーラブ』シリーズが好きで、この作品もチェックしていたけれど、タイトルからおバカなラブラブカップルのコメディだろうと勝手に思っていて、しかも3巻まであるから購入を躊躇っていた。レビューを見ると趣が違いそうだぞと気付き、思いきって購入。皆さんの言うとおり、なぜ、そのタイトルになったの? と頭がハテナになる。


上巻ではユキのことが大好きな龍仁の想いと龍仁へのユキの想いが主軸となり、気持ちが通じあう恋愛パートとタイムリープしてしまった龍仁の戸惑いが描かれ、ここまでは今まで読んだことのあるタイムリープものとの違いはそんなにない。ただ、所々に怪しいところや不穏な雰囲気があり、中巻への期待度が高まる。

中巻でやっと結ばれたと思ったら、禍々しいものが現れてユキがあんな目に遭い、龍仁はまたタイムリープし、前半のラブラブエッチが掻き消される勢い。でも、上巻のときから小出しにされていたからこの展開に置いてきぼりにされないのが凄くいい。

下巻ではラスボスちっくにクソ男が登場し、ユキを自分の価値観と歪んだ世界に閉じ込めようとするのが本当にムカつく。こいつの恋心が暴走(失恋)してユキを手に入れようと暴挙に出たのなら、ほんの少し、本当にほんの少しだけ同情もできたけれど、ユキが心から大事にしているものが何なのか、全く理解していない利己的な性質に心底嫌悪してしまう。

だから、奴のその後の様子に納得できず、好きな作品になったのに☆5にできなかった。何度か読み返したらこのモヤモヤは消えるだろうか……。
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