間の楔
」のレビュー

間の楔

吉原理恵子

これはBLの枠を超えている

ネタバレ
2024年12月10日
このレビューはネタバレを含みます▼ この作品は良くも悪くも苦痛でした。
以前(塩沢兼人さんキャスト)のアニメを見てなかったら1巻の途中で投げ出しています。
文章にクセがありすぎるのと、世界観が複雑で分かりにくく、登場人物も多いので、読んでいて意味不明でした。
島での「1巻を読み終えたら、あとは大丈夫」というコメントに助けられましたよ。
2巻以降は読みやすく(それでも1巻で苦手意識が出てきたけど)意味が分からない部分を見直さず、そのまま作品の流れに任せると、徐々に文章の世界に引き込まれていきます。
続けて読むには、もう私の気力が続かないので、休み休みでしたが。
これはハッキリと断言しますが、「(作品に)認められた人しか読めない」。
名刀は、みずからを託する者を選ぶといいますが、この作品はそのレベルです。
読者が作品を選ぶのではなく、逆です。
あれほど苦戦した世界観が巻数を増すごとに輝き、目の前に迫ってきます。
最初は「どうして、こんなに執拗にタナグラやミダスの説明をするんだろう」と描写過多に感じた部分が、読み進めるにつれて、効果を見せてきます。
そしてイアソンとリキ、二人の思いは愛なのか(最後は「愛」と描写がありましたが)それとも一時的な激情なのか、一読しただけの私では見抜けない部分がありましたが、二人にとってはあのラストしかえらべなかったと納得せざるを得ないです。
もしリアルタイムで、この作品を読んでいたら、私は大きな感情のうねりを感じて、もしかしたら立ち直るのに時間が掛かったかもしれない。
さすが伝説の小説でした。
しばらく再読はできないと思うけれど、またいつか挑みたい作品です。
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