愛されない花嫁は初夜を一人で過ごす
」のレビュー

愛されない花嫁は初夜を一人で過ごす

リオール/あん穏

これは名作!

ネタバレ
2024年12月23日
このレビューはネタバレを含みます▼ ふおお、コミカライズから原作を知り購入して一気読みしました。

感想は素晴らしい作品、この一言に尽きる。
ちょっと妹が貴族のわりに口汚すぎねえか、とか9章以降の展開早くねえか、というかロスルドと惹かれ合う過程が割愛され過ぎて性急に感じねえか、といったポイントが気にはなりますが。

しかしそれらを補って余りある心理描写の巧さと情景描写の美しさ、そして「姉妹」と「断罪をした罪」という2つのテーマを軸が揺るぐことなくしっかりと構成された物語で、そらもう余裕の星5です。

断罪後のエリシラが花冠を作って月に掲げる場面とかもう美し過ぎない?どうしたらあんな情景書けるの?
綺麗な心で綺麗な見た目の女性がそれをしてるんじゃないんだよ、色々やらかしまくって性格クッソ悪いアバズレがズタボロの姿で、自分を断罪した姉が死んだと思って大笑いしながら大泣きした後それをするのよ?そこにいない姉に幼い頃のように愛おしそうに語りかけながら。
本当に震えが走るほど美しい場面なのよ…。

そして「断罪した罪」、いや「報復した罪」と言った方がしっくりくるのかな。これは後半からのテーマになっていると思うけど、これを軸に据えた話ってあまり見たことない気がするんですよね。
この作品はその点にヒロインであるアルビナがしっかりと向き合っているのもとても印象的でした。

ただ重箱の隅をつつくとすれば、アルビナとエリシラの姉妹2人はキャラクターがしっかり作り込まれているのに対し、男性陣がややキャラが浅いかなという印象を受けました。特にロスルド。
とはいえ、物語として男性陣のキャラ造形の深さはさして重要ではないとは思うし、正直ロスルドのキャラクター性については「危険を冒してでもアルビナを助けにいったこと」「アルビナの過去を知ってなお彼女と結ばれることを選んだこと」の2つが書かれていれば充分でそれ以上はむしろ蛇足感が出てくるので、この描写量がちょうどいいバランスとも思いました。
ランディのその後も気にはなるけど、彼が誰と結ばれてどう幸せになるかは本編で入れるタイミングが無いし、これも蛇足になりそうなので入れないのが正解かなとは思う。
つまり何も問題はない、むしろこれが最適解なんで隅つつきにもならない指摘だったわね。

いやーしかし、本当に素晴らしい物語でした。すごい作品に出会えた。
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