貸した魔力は【リボ払い】で強制徴収~用済みとパーティー追放された俺は、可愛いサポート妖精と一緒に取り立てた魔力を運用して最強を目指す。~
飯島しんごう/まさキチ
このレビューはネタバレを含みます▼
素の実力は相当に低い幼なじみの冒険者パーティー「断空の剣」が、主人公レントから魔力を借りて勝利を繰り返すうちにそれが自身の力と勘違いした果てに調子に乗り、魔力を返済しないどころか、その力の源である主人公を徹底的に冷遇、侮辱して追い出した結果その報いを受ける、と聞けばよくある話だが、それがリボ払いの仕組みによって、時間を掛けて長く苦しむというのが面白い。やがて「断空の剣」は魔力が枯渇し、己の実力の無さが露呈することによって道中恥を掻いては被害者意識から逆ギレを起こし、終いには幼い時代を共にした主人公を決闘の名目で◯害しようとする始末。そこでコテンパンにされても逆恨みしては悪足掻きを行い、謝罪の言葉もない。しかも返済は終わらず、まだまだ苦難は続き堕ちて行くのが非常に愉快である。そして巻末や話の途中にリボ払いについてわかりやすく書かれているのも良い。クレカで買い物をすると勝手に支払いがリボ払いになっていることもあるので、これを機にその危険性を楽しみながら学ぶことができる。また、実は律儀に魔力を返していれば違う未来があったり、スキル上の影響とは言えレントやリンカと言った、所謂現実では尤も損をして報われない、優しい男や真面目な女性を見下して舐めきった結果、本気で怒らせるとどれほど怖いかをも表現してくれている等、正しく生きることが損ではないと表現していることも見所である。この手のタイプは恋愛弱者だが、結婚相手には最適である。何より流星群の面々が素晴らしい。
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