愛日と花嫁
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愛日と花嫁

渚アユム

神様はいない

ネタバレ
2025年1月15日
このレビューはネタバレを含みます▼ 生贄に捧げられたΩの青年と神(その実体はα)の、愛を紡ぐ日々の物語。
なんとBLデビューコミックスがここまでの大作になったとのこと…まずは完走おつかれさまでございます。

数年前に生贄エロエロ溺愛オメガバースを求め手を出した邪な気持ちは、2巻で打ち砕かれ3巻で粉々になり…読み終えた頃には「こんなに完成度の高い壮大な作品が生まれちゃって、BL界は今後どこまで進化していくのだろう…」なんて業界人ぶって勘違いするほどでした。
1巻はルカとクロの恋模様、2巻は種を超えた繋がりを模索する奔走回。
そして、「フィナーレ」と銘打たれた3巻は……感動の理詰め回でした〜、わ〜♪
α=神の世界の成り立ちや生贄システムを取り入れた理由からなにから…しかしよくこれだけの情報量を最後に全部ぶっ込んできましたな??3巻を読むまでにキャラと世界観を愛していないと入ってこないおそれがありますが、超愛してから読めばもれなく感動しボロ泣きができます。特に、ノアとウェレとのささやかな蜜月、閉鎖的にならざるを得なかったクロたち神がどんどん人の世と交わり温かく広がっていく課程は…涙なくして辿れません。
先生におかれましては、言語化もイメージ化も困難であろう思想をよくぞここまで構築し凡人向けに噛み砕いて下さったとしか…矛盾やズレに配慮して相当内容を練られたのではないかと愚察します。人間が神と崇める(てか利用?)αの始祖的なノアでさえ“摂理“の一部なのであり、ゼロから世界をつくったわけではないのだから…
小さき者たちの悩みは尽きない。だからこそルカとクロとの間に生まれた「ハル」がよけいに希望に満ちて見えるのかな。

なんやかんやそんなこんなで喜び満タン祝福ムードになったところで本編は区切りよく完結。
「その後…」と題していかようにも番外編を制作できるまとめ方です。
先生、心の準備はできています。どうぞこれからも甘くしあわせな番外編をどんどん量産しちゃってください。
※ちるちるに渚先生のインタビューが掲載されています。
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