吸血鬼と愉快な仲間たち
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吸血鬼と愉快な仲間たち

木原音瀬

5巻大幅変更!過去読んだ方も買い直し必須

ネタバレ
2025年1月15日
このレビューはネタバレを含みます▼ 心より万歳。5巻の初版が出たのが、2011年ですし、一時期は紙でも電子でも販売終えてましたから、本当にこれは未完で終わるんだなと自分の中でけじめをつけ終えていた作品でした。そこからの再開。本当にありがたい。木原先生の作品の中でも群を抜いて、ソフトでライトな作品で、吸血鬼ファンタジー、次々に起こるサスペンスオムニバス、BLを混ぜた内容です。読んでいて「痛くない」、木原作品では本当に貴重な作品だと思います。その内容でも、文章力で読ませてくれます。愉快な仲間たちというだけあり、登場人物も多く、木原先生の作品ではこの点でも珍しいかなりの長編物です。さて5巻の内容ですが、以前の5巻は1/3が本編、残りがアキラの番外編でしたが、今回アキラの過去が別巻で編集しなおされ、5巻は本編のみ、2011発刊の続き・アルが日本に帰国してからのことが描かれています。(実質待望の6巻といった感じですね。ただし実際に書かれたのは2017頃の書き下ろしのようですが)つまり過去読んだ方は買って読んでください(←これが言いたくてレビューしました)。この巻を読んだ感想としては、過去の終わり方は低いトーンで終えられており、「ああ、ここまで平和だったけど、これから木原ワールドになってしまうのかな」と思っていましたが、書き下ろしの中それを修正されたのかなと思う展開でした。安心。(安心という言葉が木原先生の読者さんにはわかってもらえるはず)。また全体的な感想としましては、本来軽く明るい読みやすい物語をオムニバスとして書いていく設定だったように感じましたが、進めていく中吸血鬼と人という壁を軽視するのが、やはり木原先生の中で難しく、そこに対して正確な答えを探しているように感じました。物語の終焉のパターンは数える程しかありません。その終焉をどの過程で進み、登場人物が何を感じ考え話し、答えを出していくのか、その形は無限で、その作家さんにしか出せないものです。木原先生が長くその手に、身体に置いておいた作品ですから、その終焉がどうなるのか本当に楽しみでなりません。再開ありがとうございました。(追記6巻読後)今回の章は2人の関係性の変化でした。書き下ろしでかなりの時間経過がありますから、この長編小説の終わりが近づいているのかなと思わせます。7巻で何が描かれるのか楽しみにしています。
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