かすりっひ
」のレビュー

かすりっひ

御自愛

破れ鍋に綴じ蓋

ネタバレ
2025年1月17日
このレビューはネタバレを含みます▼ オバサン的な言い方になっちゃうけど、イマドキの若者の悩みが詰まってるなぁというのが第一印象。
芸能界でなくてもSNSで一個人が有名になれてしまう一般人との境界線がどんどん薄れてる時代、承認欲求や自己顕示欲が高まってる中で、思春期を過ごす過酷さで精神を擦り減らす。それに加えてネットの世界とは乖離していく実生活。きっと端から見れば不幸とは言えない家庭環境や学校生活でも、その中で増幅される孤独感は誰とも比べることは不可能。だからあの言葉が自分だけのために届いた喜びで沼っていくのも理解し易い。悩みとか話して、世界にはもっと辛い人がいるよって言われて自分の悩みなんてちっぽけだって思える人はそれで良いけど、誰かが代わってくれるわけでもないその苦しみを、他人と比べるって事に釈然としない自分は2人が呼応する場面で引き込まれました。
読んでると2人の感情と、それを無慈悲に攻撃してくるセカイとの応酬がこれもまた若い子たちが慣れ親しんでいる、言葉が洪水のように羅列する今時の音楽のようで、コマ割りや言葉の配置が動画サイトにあるようなアニメーション?を使ったMVっぽいのかな、隙も息継ぎする暇もない。若い子たちに親和性が高いと思うし、こういう作品が生まれる必然性は感じます。もちろん自分自身共感できる部分もあったわけだし、この作品テーマにはこのスタイルが合ってると思う。
ただ作品の中に全て描かれすぎてて、創作物に生じる余白のような間(ま)が欲しくなる自分にはど真ん中の好みではなかったってだけ。自分の頭でイメージを膨らませたいけど、この作品はそのまま頭に流れ込んで占領する感じでスラスラ読めてキモチイイ!てなるのがちと苦手かも。
配信者ガチ恋粘着系漫画は多分一番有名な作品?を読んだことある程度で、BLではインフルエンサーのキャラ設定多い方だと思うけどここまで純度高めて描いてるのは初めてじゃないか?てくらい自分の存在意義、ファン、ガチ恋、共依存てのが密接に2人の関係と繋がってて、ぶっ刺さる人にはエグいパワーがあるんだろうな。
SNSが中心にあると不幸にしかなれないとは思うけど、同じクラスに本音を話せる人がいなくても世界が繋がったおかげでそこでの出会いに救われる人だっているから否定は出来ない。ただただ彼らにとって心安らかな関係に落ち着くことを願う!
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