巻き添えで異世界に喚び出されたので、世界観無視して和菓子作ります
和泉杏花/天乃こと
このレビューはネタバレを含みます▼
異世界で和菓子?!何だか何でもアリ過ぎる、と苦笑しながら手に取ったんですが。とんでもない!そこは和菓子である事にちゃーんと意味付けがあったんです!和菓子職人になって和菓子カフェを開く事が現世での夢だったサユリは、聖女召喚に巻き込まれ、いわゆる聖女の「おまけ」として異世界転生する。異世界チートどころか、魔物の度重なる襲来で日々の食物にも欠いていた、疲弊し深刻な状態の異世界で。サユリは小麦や乳製品(洋菓子)に頼らない和菓子をこの国の人達に伝えて行く。その優しいほの甘さにほぐれて行く人々の気持ち。この世界で生きて行く、生きて行かねばならないと腹を括ったサユリの生き様は、周囲の人達へと影響を与えて行く。っていう。意外にも真面目な物語に心揺さぶられました。もちろんそこは漫画。サユリは和菓子に癒しを込める聖女であることも判明して、サユリの周囲はにわかに騒がしくなって行く。サユリを迎えた公爵家の人達、研究職のセリウスとの恋模様。ほの甘いロマンスもちょっぴり。異世界でカフェ、も擦られ過ぎた感もありますが、サユリがそこまでチートじゃ無いのが好感持てます。サユリが職人気質というのもあるのですが、聖女として召喚されたパヤパヤした女子高生とは違い、地に足着いた堅実な大人、っていうのも良い。彼女の夢が叶い、側には愛するセリウスが居る、というのがもう読めてはいるんだけど。その過程を楽しみにしています。美しい練り切りを買いに行こうっと。
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