魔女に白い花束を
」のレビュー

魔女に白い花束を

曽祢まさこ

現代にもある魔女狩り

ネタバレ
2025年1月24日
このレビューはネタバレを含みます▼ 原作が史実を元にしている為、主人公を襲う不幸と悪意に容赦がありません。それでも少女マンガらしい救いを求めて読むのですが、救いがあるようで無いのもリアルです。
常に見張り合っているようなムラ社会の閉塞感、よそ者に対する厳しい目、メンツへのこだわり、絶対数が少ない若者達の恋愛…と、些細なきっかけで揉め事が起こる要素ばかりです。一言「魔女だ」と噂するだけでほぼ有罪、本当の所は魔女など信じていなくても村人達がまるで鬱憤晴らしの娯楽のように裁判や火あぶりに熱狂していきます。主人公の無実を訴える人間も確かに存在するのに、少数のその声はかき消されます。遥か昔の遠い外国のお話では無く、現代でもSNSなどで自分にも起こりうる事だと思いました。
主人公を陥れた恋敵は報いを受けますが、個人的には向かいの家の夫が腹立たしいです。元々病気だった娘の死を主人公のせいだと裁判で有罪の証言をしたこの男…次に生まれる子が元気に成長したら前の子の死はやっぱり魔女のせいだったと得意になって言うのでしょうか。
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