婚約破棄された令嬢は伯爵さまの年の差執愛に抗いたい~諦めて、もがき続ける~
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婚約破棄された令嬢は伯爵さまの年の差執愛に抗いたい~諦めて、もがき続ける~

真白燈/蜂不二子

諦めてもがいた先の、向かい合う大切さ。

ネタバレ
2025年1月31日
このレビューはネタバレを含みます▼ 真白燈様のweb作品でも大変好きで、何度も愛読したお話が書籍化されて嬉しいです。
諦めてもがく、色んな意味で捉えられる一言ですよね。
ユーディットちゃんが家の為に好きな人も学生時代も諦めて子持ちの年上男性へ嫁ぐという意味にも、
軽薄なベルンハルト氏の倫理観が生真面目な若妻に感化され馬鹿にしていたはずの愛に次第に本気で溺れるという意味にも、
同じく家の為に身を貶した初恋の人スヴェン君が泥水啜ってでも今を諦めなかった意味でも、
激情と快楽に流される事を楽しんでいるはずなのに真逆の安寧を求めるビアンカ夫人にも。
主人公だけでなく様々な視点から見たそれぞれの葛藤と変化が未来へ繋がっていく様が、この物語だと思います。
大人のふりした子供じみた旦那様が妻を愛し始めて本当の意味で大人の男に成長して、大人にならざるを得なかった妻が一途に夫から愛されることで年相応の感情も吐き出せて。
そして間を取り持つ先妻の達観している息子君が子供らしく甘える姿は泣けてくるというか、この三人は家族になるべくして出逢ったんだなと納得するというか。
番外編の夫婦二人きりのデート模様も垣間見れて、二人して同じ不安を抱えている似た者夫婦にほんわかしました。
きっとこの夫婦は、この家族は、最期まで幸せに暮らすだろうな。
イラストレーター峰様の、真白燈様の作品を具現化した美麗な表紙にも、賞賛しかないです。
諦めてもがいた先で掴んだ家族の幸せに、温かい気持ちになりました。
とても深い、私にとって大切な作品が一冊の本になった事に感謝です。
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