エリスの聖杯
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エリスの聖杯

常磐くじら(DREノベルス/ドリコム刊)/桃山ひなせ/夕薙

ただの異世界令嬢ミステリーにあらず

ネタバレ
2025年2月1日
このレビューはネタバレを含みます▼ 最新58話まで読了済。
「この作品に出会えて本当に良かった!」と声を大にして言いたい。なろうで原作を読了したけれど、原作自体が素晴らしかった!「だから力のある作画の先生が描くことになったのだな」と納得。作画や世界観描写がとても素敵で、また違った視点から読めて眼福!原作の素晴らしさを何倍も高めてくれている神作!

中弛みが一切なくて全話面白いのだけど、特に57話のスカーレットパパ編は別格!!!
パパが骨壷を抱きながら語る回想シーンは涙なしに読めない。滅多に泣かないわたしが何回読んでも自然とボロボロ泣いてしまった。個人的には神作の中でも神回だと思う。

ーーーー(ここからネタバレあり)ーーーーースカーレットの棺に「寒いといけないからブランケットを入れるの忘れないようにしないと」なんて、溺愛してなきゃそんな思いつかないし、ずっと見守り続けてきたからこそ言える言葉で…。

パパは国の為に愛娘を殺さねばならず、国の為に生きねばならならず。描写はないもののスカーレットの死後は想像を絶する地獄だったはず。宰相である自分が死んでしまうと国が滅びてしまう=愛娘を殺した意味がなくなってしまうから死ねなかっただけで、本当はずっと死にたかったのだろうな(心理学者&精神科医だったフロイトの構造論的にいうと、パパは『超自我』がバキバキに強いのだろう。それ故にスットコドッコイ…)

パパにとっては憑依したスカーレットから『愛されていたことくらい知っていた』と聞けたことは「愛してる」と言われるよりも嬉しかったんじゃないかな。もうね、原作者の言葉選びのセンスが神がかってる。これからも生きていかねばならないパパにとって唯一無二のよすがになるのだろうなぁ…と感涙しつつ、その流れで「パパも『愛しているよ』と伝えれば良かったのに!」とヤキモキしたけれど…まぁそれが出来たらこんな拗れてないか笑。それでも、パパが渇望してやまなかった奇跡が起きたのだから、これからもスカーレット達と交流を続け、いつの日か伝えられるといいなぁ!と願っている。だってこの物語の真骨頂は【救済】だと思うから。

あー…レビュー書きながら泣けてきた。もう全人類に読んでほしい。本当この作品好き!登場人物が多過ぎて名前が覚えられないのが難点だけれども笑→だからこそ名前がゴッチャになるのでやはりコミカライズはわかりやすい!
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