このレビューはネタバレを含みます▼
「番」にあまり詳しくないのですが、一般的な番の世界観と少し違いますよね?輪廻転生(と因果応報)の仕組みも独自で面白い。神人婚の要素もありつつ、階級制度としてカチッと組み込んでいる。魔法の設定も緻密だし…
独自性がありつつキッチリした世界観が揺るがないので、ミステリーとして大変面白く読めました。そして最後はざまぁ展開と愛は勝つ展開を両立させている。天晴れ。
令嬢もの…聖女もの?的に、主人公を慕う男性それぞれの事情も面白いです。アデル自身は転生云々がなければレヴィさんといい感じだったのかと思いつつ、まてよいい感じの時は第三王子だったのか?読み直さないと分からん 笑
それにしても登場人物みんな真面目!!!行動原理に「罪悪感」がめちゃくちゃ多いのなんなのだろう。統一された一つの秩序の世界観だからか…イイヒトが多い理想の世界だからか?…空島あるし、空島気質?(伝われ)
SM一歩手前のあやういバランスが素晴らしい。SMというか、もっとプリミティブな衝動なのか…は不明だが、ルチアのその後の設定はちょっと雑かも。
冗談はさておき、美人で家族のいない人間が世間や権威からどのように扱われるか、自由や選択肢を得るためにはどんなカウンターパワー(武力、智力)が必要なのかがきちんと表現されていると思いました。個人的にはワイルドカード的なデマリーのスピンオフを読みたいです。
社会の権力勾配が急すぎてトップが腐ったのもリアルだし、そのトップが人間関係でもモラハラなのもリアルさがえぐい(褒めてる)。
とにかくモラハラの怖さが尋常じゃない(あそうか、SMにいききらないからモラハラなのか)。アデルがデマリーに報告を躊躇うところとかあるあるじゃん!というリアルさ半端ない。ほんのちょっとした言い回しで違和感を持たせるキャラのセリフが上手い。
最終的には忍耐した第三王子がすごいのがよくわかる。が、第三王子の証拠集め&味方の派閥づくりの社会派パートをもう少し読みたかったです。王城に味方が増えていたら、アデルも安心できることは想像にかたくないので。
最後になりましたが全ての描写が綺麗で読みやすくて大変良かったです。楽しい時間をありがとうございました。